何らかの病気になったとき、「親はどんな病気を患っていたかな」「親戚に同じ病気の人がいたな」と頭をよぎることがあると思います。親子なら必ず同じ病気が発症したりするわけではなく、兄弟同士でも差があったりします。どうして疾患が遺伝したり、遺伝していたとしても発症しないということがあるのでしょうか。
遺伝とは、人が生まれるときに父親の遺伝子と母親の遺伝子それぞれから情報を引き継ぐことです。そして、父親に顔がよく似ていても、母親の身体的特徴をもっているという風にどちらか一方だけの情報にはなりません。遺伝情報には、現れ方の違う「顕性遺伝」と「潜性遺伝」があるからです。
父親・母親それぞれの性質をもつ遺伝子があり、どの遺伝子がどう組み合わさるかで子供の特徴は変わります。まれに両親のどちらにも似ていない子どもが生まれるのも、両親には出ていない遺伝情報の組み合わせによるものなのです。
遺伝的に引き起こされる疾患は「遺伝子疾患」と呼ばれ、一つの遺伝子の違いによって引き起こされる「単一遺伝子疾患」、複数の遺伝子や生活習慣とのかかわり方という複数の要因がある「多因子疾患」、常染色体と性染色体全体もしくは一部に過剰または不足などがみられる「染色体異常症」にわけられています。
後天的な要因や突然変異によるものも遺伝子疾患に含まれているので、特に多因子疾患では予防的な生活をおくれば必ずしも発症するわけではありません。両親や親せきが大病を患っていてもすぐ悲観的にならないで、まずは定期健診などをうけながら生活習慣に気をつけることから始めていきましょう。