多くの子供が苦しんでいる病気の中には、先祖代々受け継いできたDNAに由来する遺伝疾患が少なくありません。そのため、遺伝疾患の治療を必要としている患者に対応することが求められる看護師には、一般的な看護学の知識に加えて、遺伝学の知識も習得している必要があるのです。
看護師に必要とされる遺伝学は、そこまで高度なものではありませんが、簡単な知識であっても、それを知っていることで遺伝についての専門的な医療の活用に関する患者の意思決定をサポートできるようになります。また、遺伝疾患は、患者本人だけでなく、患者に遺伝子を受け継いだ両親や祖父母などの家族への心理的な負担も大きいものがありますが、遺伝学を知っていることで、必要以上に自分を責めなくてもよいことを説明できるようになるなど、家族の精神面のケアも行えるようになるのです。
子供がかかる疾患の中には、遺伝によって罹患するものと、後天的な原因によって罹患するものがあるわけですが、必ずしもどちらか一方の原因だけで発生するものばかりではありません。例えば、小児がんは、遺伝によっても後天的な原因によっても罹患する可能性がある疾患なのですが、患者や家族に十分な知識がない場合、子供は親のせいで病気になったと思い込みがちですし、親としても自分たちのせいで子供を病気にしてしまったという罪の意識に苛まれる傾向にあります。
基本的な遺伝学を知っていれば、そのような患者たちに対して必ずしも遺伝が原因で小児がんになったわけではないと正確に説明できるようになりますし、遺伝が原因である場合にも親を責めるべきではないと諭して前向きに治療を受けさせられるように仕向けられるはずです。
このほかについては、こちらでも詳しく紹介されています→→→『遺伝性疾患入門』